アイデアマラソン発想法 樋口健夫

アイデアマラソン発想法

  1. 概要 考えて書くことが、仕事のみならず、生活においても、知的基盤となることは良く理解されている。ただ、ブレインストーミングを含めた、従来の様々な発想法は、開始時には立ち上がりに時間がかかり、一過性のものが多く、長期間にわたって継続することができず、習慣化も困難であった。発想の習慣性を構築するために樋口健夫(アイデアマラソン研究所長 博士・知識科学)が、1984年に独自に開発し、以来継続してきたのがアイデアマラソン発想法(通称、アイデアマラソン)である。
  2. アイデアマラソンのルール 基本ルールは、①一冊のノート(A5のルーズリーフが望ましい)を徹底的に活用する。②毎日何かを考え、即ノートに書き留める。③できるかぎり絵や図を描きいれる。④発想を周りと話し合う。⑤ノートに溜めた発想の最良のものを、実行実現する。
  3. アイデアマラソンの核心 「毎日」実行することと、「一冊のノート」に書き留めること。「発想の領域を限定しないこと」である。
  4. アイデアマラソンの内容 モノの発想、新システム、工夫、提案、気付き、疑問、要チェック、計画、提言、思いの入った日記など、ほとんど制限なし。
  5. アイデアマラソンの具体的書き方 日付順に書く。発想と発想の間には1行の空間を置く。
    例) 20XX年YY月ZZ日 (空港) 発想番号 371
    ゲートから滑走路の端までの移動の燃料を節約できないか。特別の牽引のシステムを作れないだろうか。
  6. アイデアマラソンの個人的効果 ①「思考即書き留める」という習慣が付く。②せっかく思いついたことを忘れなくなる。③継続力の効果を体験できる。すき間時間の有効活用が可能になる。④自分の知らなかった能力を自ら引き出すことができる。⑤時間順に書き留めた発想が知的財産になる。⑥3か月程度を続けるだけで、創造性が向上する。 ⑦瞬発的発想力が大きく向上する。
  7. アイデアマラソンのグループ効果 上記の個人的効果を、企業や研究所にてグループ・アイデアマラソンで進めると、グループの創造性は飛躍的に向上し、停滞気味の小集団活動、提案活動、QC活動などに大きなインパクトを与える。アイデアマラソンを全社運動として進めている企業や研究所が増えてきている。グループアイデアマラソンでは、発想にシナジー効果が出ることと、セレンディピティの発生も期待できる。
  8. アイデアマラソンの研修 (1)開発者樋口健夫の著書を読み、自主的にアイデアマラソンを開始する方法、(2)企業や研究所などで、グループ研修として行う方法などがある。(3)学部全体でアイデアマラソンを実行する大学、(4)教授と研究室全員でアイデアマラソンを実行中も増加。(5)更に、幼稚園・保育園むけのアイデアマラソン、小学生向けのアイデアマラソンも用意され、拡がりつつある。

[文献]

  • 「一冊のノートで、始める力続ける力をつける」(樋口健夫著 こう書房)
  • 「仕事ができる人のノート術」(樋口健夫著 東洋経済新報社)

(樋口健夫)